こんにちは!
元看護師のアクリル画家、松井京丸です。
2匹の愛猫と暮らしながら、癒しと解放をテーマに制作活動をしています!
『瞬きのあいだ』© 2026 アクリル・ネコ/松井京丸(アクリル絵の具)
アクリル絵の具で瑞々しい「草」を描きたいけれど、どうしても不自然になってしまうと悩んでいませんか?
実は、草をリアルに表現するには、 アクリル絵の具特有の「重ね塗り」の性質を活かした具体的な手順とコツ があります。

本記事では、毎日アクリル絵の具を扱うプロの画家としての知見と、
元看護師ならではの実験的・科学的な視点を踏まえて、
初心者でも迷わずに、アクリル絵の具で立体感と自然な質感のある豊かな草の描き方5ステップを解説しています。
この記事を読めば、あなたの作品に素敵な緑の息吹を吹きむことが出来ます。
【理由】アクリル絵の具が「草」を描くのに向いているのはなぜ?
風景画や背景で必ず登場する「草」。
一本一本描くのは大変そうだし、どうやってリアルな質感を出すか悩んでいませんか?
実は、草を描くのに一番おすすめなのが「アクリル絵の具」なんです。
- 高い隠蔽力で「奥の影から手前の光へ」という重ね塗りが簡単
- ファンブラシやスポンジを使った草の質感を出す裏ワザと相性バツグン
- メディウムを併用して本当に草が生えているような立体感を作れる
1. アクリル絵の具は草を描くのに失敗しても上からまた描ける!
草を立体的に描くコツは、暗いベース(影)の上に明るい草(光)を重ねることなんです。
アクリル絵の具は乾くのが早く(速乾性)、下に塗った暗い緑がにじまずに、上からパキッと明るい黄色や白の草を重ねられる(隠蔽力)のが最大の強みです。

失敗しても上から重ねられるので、気負わずに描けるのもメリットです。
2.アクリル絵の具は草を描くのに多彩な「裏ワザ技法」が使える!
筆の水分を減らしてかすれさせる「ドライブラシ」。
扇型の筆で一気に描く「ファンブラシ」。
ポンポンと叩くだけで茂みができる「スポンジ」。
など、アクリル絵の具は、 草の質感を出す特殊なテクニックと相性がバツグン です。

3. アクリル絵の具は草の立体感を出しながら描ける!
アクリル絵の具を厚めに塗ったり、モデリングペーストなどのメディウムを混ぜることで、キャンバスの上に本当に草が生えているような ザラザラ・ボコボコとした質感を出す ことができます。
この立体感のおかげで、絵に深みがぐっと増します。

ふわふわの猫ちゃんの毛並みと、リアルな草の質感の対比なんかを表現すると、すごく癒されます。
【道具】アクリル絵の具でリアルな草を描くための必須アイテム
アクリル絵の具で草を描くための「道具」についても紹介します。
- アクリル絵の具:色の重なりを描きやすい
- メディウム:物理的な陰影を作ることが出来る
- 筆:草のニュアンスを描き分ける
アクリル絵の具:草の色の重なりを描きやすい
リアルな草を描くためには、発色が良く不透明度をコントロールしやすいアクリル絵の具を選ぶのがおすすめです。
下層の色がほんのり透けるので、暗い緑の上に明るい黄緑を重ねたとき、草の重なり(遠近感)がリアルに表現できます。
■↑愛用しているアクリル絵の具です。(リキテックスプライム・リキテックスベーシック・アムステルダム)
●リキテックスプライム
●リキテックスベーシック
●アムステルダム

発色も良くて思い通りのグリーンが表現できます!
バニーコルアート :鮮やかな発色とリキテックスの多様な質感が魅力。
ターレンスジャパン :アムステルダムなど、大作にも挑めるコスパと品質。
メディウム:物理的な凹凸で草の陰影を描ける
■↑いろいろな種類のメディウム。試したくてついつい買っちゃいます。
さらに、画面にザラザラとした物理的な質感をプラスしたい場合は、モデリングペーストなどのメディウムを併用するのも効果的です。
下地の段階でメディウムを使って草の凹凸を作っておくと、上に絵の具を重ねたときに自然な陰影が生まれます。
【メディウムとは】
絵の具の質感や乾燥時間、ツヤなどを調整するために混ぜる補助剤のことです。草の立体感を出すには「モデリングペースト(盛り上げ材)」が最適です。
●モデリングペースト

メディウムを使わずにアクリル絵の具だけでも十分に多彩な表現が可能です。今回の5ステップでもモデリングペーストは使用していません。
でも、モデリングペーストは絵の具に混ぜるだけで簡単に立体感を出せますし、何よりとっても楽しいのでぜひ一度試してみてほしいです!
ターナー色彩株式会社 :「U-35」は「35歳以下の若手アーティストを応援する」というコンセプトから名付けられたシリーズで、高品質ながら学生さんでも手に取りやすい価格設定が特徴 。1946年に大阪で創業した日本を代表する絵具・塗料メーカーです。
■↓アクリル絵の具のメディウム8選の使い方を詳しく解説しています。使用前・使用後の画像比較も行っています。ぜひ参考にしてくださいね。
筆:草のニュアンスを描き分けるアクリル絵の具の相棒
■↑左から平筆、丸筆、ファン筆、フィルバート。
草の表情を豊かにするためには、複数の筆を使い分けることが非常に重要です。
広い範囲 や草むらやベースの塊を描くときは少し太めの平筆やファン筆(扇型の筆)を使い、仕上げには細筆を使います。
それぞれの筆が持つ特性を活かすことで、ランダムで自然な草のタッチを生み出すことができます。
●インターロン
●ファン筆
●キャムロンプロ(草の仕上げの細かい描写に最適です)

丸善美術商事 :「インターロン」など、毛先のまとまりとコシが抜群な筆の名門。
アムス :画材の品揃えが豊富。特に評判が良い「キャムロンプロ」シリーズは弾力があって、アクリル絵具でも毛先がまとまりやすいナイロン筆。
ホルベイン :専門家向けの高品質な絵具から、初心者でも扱いやすい画材まで幅広く展開しています。
【実践】初心者でも簡単!アクリル絵の具を使った草の描き方5ステップ
■↑今回、使用したアクリル絵の具と筆とパレットです。
いよいよアクリル絵の具で「草」を描いていきます。
順番通りに描いていけば大丈夫です!
- 草の色と背景の色を作る
- 背景を塗る
- 草の下地となる暗い色を塗る
- 黄みの緑色で草の立体感を出す
- 明るい黄緑で光のあったっている草を描く
■↑今回のアクリル絵の具で描く「草」の完成図です。

ステップ1:草の色と背景の色を作る
暗い緑色から明るい黄緑色まで、最初にパレットに作ってしまいます。
(1)から(5)が草の色で、数字が大きくなるにつれて色が明るくなります。
色
使用箇所
混ぜる色の割合
(1)黒っぽい緑色
奥に茂っている草
緑:黒:白=4:2:1
(2)緑みのグレー
真ん中あたりの草
緑:黒:白=2:1:1
(3)明るめの緑色
手前にある草
緑:黒:白=4:1:2
(4)黄色みを帯びた緑色
立体感を出す草
緑:黒:白:黄緑=4:1:3:1
(5)一番明るい黄緑色
光の当たっている草
緑:黒:白:黄緑=4:1:4:1
(6)薄い土の色
背景
黄:白=1:1
<今回使用した色>

ステップ2:背景の色を全体に塗る
薄いベージュにすることで、草むらの緑が引き立ちます。
ステップ3:草の下地になる暗い色を塗る
草を描く最初のステップは、最も奥にある「一番暗い影の色」を下地として塗ることです。
最初から明るい緑を塗るのではなく、まずは深い緑や濃い青、あるいは焦げ茶色などで全体のシルエットを塗っていきます。
- (2)の「緑みのグレー」で草むら全体の形をざっくりと描きます。

- 乾燥したら、(1)の「黒っぽい緑色」をファン筆で草のシルエットを意識して下から上に筆を動かして色を乗せていきます。ファン筆に絵の具を取ったらペーパータオルなどでふき取り、カスカスの状態で描きます。全てを塗りつぶしてしまわずにザックリと描きます。

暗い下地がしっかりと残っていることで、後から重ねる草の隙間に自然な奥行き(シャドウ)が生まれるのです。
ステップ4:黄みを帯びた緑色で草の立体感を出す
草の下地がしっかりと乾いたら、次に中間の明るさの緑色を使い、草が生えている方向や全体のボリューム感を決めていきます。
細筆の先を軽く叩きつけるように置いたり、下から上へと優しく払うように動かしたりして、描きこみましょう。
- (3)の「明るめの緑色」を水を多めで溶きます。

- 絵の具を筆にたっぷりと含ませます。

- ペーパータオルなどで余分な水分をふき取ります。

- 筆の先を軽く叩きつけるように置いたり、下から上へと優しく払うように動かしたりして草を描きこみます。

- 乾燥したら、(4)の「黄色みを帯びた緑色」でも同様に描きこみます。

絵の具を水分多めで溶いて、筆にたっぷりと含ませませてから、ペーパータオルで余分な水分を拭ってから描きます。そうするとスムーズに描くことが出来ます。

ステップ5:光が当たる手前の草を細筆で描き込む
最後の仕上げとして、一番明るい黄緑色を細筆にとり、手前にある光の当たった草を描き込みます。
すべての場所に描き込むのではなく、特に光が強く当たっている場所を選んで、ピンポイントで細い線を重ねていきます。

【応用】より魅力的な「草」を描くためのアクリル絵の具テクニック
基本の「草」が描けたら、さらに表現を広げていきましょう。
- 緑色の混色のコツ
- 光と影のコツ
草の単調さを防ぐ!複数の「緑」を使い分ける混色のコツ
■↑青(セルリアンブルー)、赤(ペリレーンレッド)、緑(フタログリーンブルーシェード)に白(チタニウムホワイト)を混ぜました。
これは、白を混ぜただけですが、混色をするだけでこんなにも表情の違う色を作ることができます。
市販の緑色の絵の具をそのまま使ってしまうと、どうしても周囲の風景から浮いてしまうことがあります。
今回の5ステップのように緑色に黄緑色を混ぜたり、白と黒を割合を変えて混ぜたりして、何種類もの「独自の緑」を作ってみましょう。
わずかにニュアンスの違う緑色を画面の中に散りばめるだけで、一気に作品の深みが増して生き生きとした表現になります。
草の立体感を生み出す光と影(ハイライト・シャドウ)の入れ方
草むらにさらなる説得力を与えるのが、太陽の光を感じさせるハイライトと、地面に近い部分のシャドウのコントラストです。
光がどの方向から差し込んでいるかを常に意識し、光が当たる葉の先端には思い切って明るい色をのせましょう。
逆に、草の根元や重なり合う奥の部分にはしっかりと暗い色を残すことで、メリハリのある美しい画面に仕上がります。

青っぽいもの、黄色っぽいもの、くすんだものなど、たくさんの緑であなたの表現を広げてみてください!
【実録】アクリル絵の具で「草」を描く時の失敗談と対処法
初心者さんが陥りがちな失敗とその対処法を紹介します。
あらかじめ知っておくことで、未然に失敗を防いだり、いざ失敗してしまった時もあわてずにすみます。
- 草が単調で不自然になった!
- 草がただの緑色の線にみえる!
- 色を重ねたら濁ってしまった!
一生懸命描いたのに「草」が単調で不自然に見えてしまう!
原因
実際の自然界にある草は、1本1本が異なる色味を持ち、複雑に入り混じっています。
アクリル絵の具をパレットから出してそのままベタ塗りをすると、画面がひどく単調に見えてしまいます。
対処法
奥の方に見える暗い色、中間に見える明るい色、仕上げに一番明るい部分を描きこむことで自然で立体感のある草を描くことが出来ます。
草を描いたら「ただの緑色の線」になってしまった!
原因
草を描こうとして、細い筆で「緑色の線」を何本も並べて書いてしまうのもよくある失敗です。
これでは草の「塊(かたまり)」としての立体感が生まれず、地面から線が生えているような違和感が残ります。
対処法
草を描くときは、線を引くのではなく、まずは全体のシルエットや影の塊を意識することが大切です。
暗い色で草の下地となる影を描いてから、徐々に明るい色で草を描きこんでいきます。
草の色を重ねたら、濁ってドロドロになってしまった!
原因
アクリル絵の具の表面がまだ半乾きの状態で、筆で擦るように重ねてしまったことです。
対処法
「触って冷たくない状態」まで完全に乾かすことです!
アクリル絵の具は、完全に乾けば上から何を重ねても絶対に濁らないのが強みです。
半乾きの状態で絵の具を重ねると下層が剥がれたり濁ったりします。ドライヤーを使えば短時間で乾燥させられます。

【Q & A】アクリル絵の具での草の描き方に関するよくある質問

Q1. 草の「みずみずしい黄緑」がうまく作れません。どうしてもくすんだ黄緑になってしまうのですが、コツはありますか?
A:「黄色」をベースにして、そこにほんの少しだけ「緑」を足していくように混ぜてみてください。
緑の絵の具に「白」を混ぜすぎてしまうと、少しパステル調のくすんだ色(チョークっぽい色)になってしまいます。
これはこれで可愛らしい色なのですが、鮮やかでみずみずしい新緑のような色を作りたいときは、「黄色」をベースにして、そこにほんの少しだけ「緑」を足していくように混ぜてみましょう。
驚くほど鮮やかで元気な黄緑が作れます!
Q2. 草を細筆で描くとき、線がかすれたり、途切れたりして上手くシュッと描けません。
A.:絵の具に少しだけ多めに水を混ぜて、インクのように滑らかにしましょう。
それは 絵の具の「水分量」が足りていないサイン です!
アクリル絵の具は粘り気があるので、細い線(面相筆など)で草を一本一本描くときは、パレットの上で少しだけ多めに水を混ぜて、インクのように滑らかにするのがコツです。
筆に絵の具を含ませたら、ペーパータオルなどで水分量を調節して描いていきます。

Q3. ファンブラシ(扇型の筆)やスポンジを持っていないのですが、普通の平筆や丸筆だけでも草は描けますか?
A:もちろん、普通の筆だけでも十分に描けます!
平筆でベースを描いて、草の細かい所は細筆で描いていけば大丈夫です。
平筆で草を表現したい場合は、筆の「角(かど)」を使ってスタンプのようにトントンと叩くようにのせると、小さな草の葉の質感が作れます。

Q4. リアルな草むらを描くために、緑以外の色って何を使えばいいですか?
A:実は「茶色(バーントシェンナなど)」と「紺色(ウルトラマリンなど)」が名脇役です!
地面に近い奥の影には、緑に紺色を混ぜて「深い影」を作ります。
生き生きとした草むらの中にも必ず根元に枯れ草があるので、茶色を少し点々と混ぜてあげると、一気に絵に深みとリアリティが出てプロっぽい仕上がりになります!

Q5. 遠くの草と近くの草を描き分けるポイントは?
A:「遠くはぼかし、近くはくっきり描く」というコントラストを意識してみましょう。
遠近感を表現するためには、遠くの草は詳細を描かずに「モヤっとした一つの塊」として淡い色で描写します。
逆に、近くの手前にある草は、細筆を使って輪郭や光の当たり方を「ハッキリと鮮明に」描き込みます。
この「遠くはぼかし、近くはくっきり描く」というコントラストを意識するだけで、画面に奥行きのある壮大な空間が生まれます。
遠近感の基本は空気遠近法です。遠くのものは空気の層によって境界線が曖昧になり、色も薄く青みがかって見えます。
【まとめ】アクリル絵の具の特性を活かして豊かな草を描こう
アクリル絵の具を使った草の描き方は、暗い下地から明るいハイライトへと順番に層を重ねていくことが、最も確実で簡単な近道です。
ベタ塗りを避け、筆の特性を活かしながら複数の緑色を重ねることで、 初心者でも驚くほどリアルで立体的な草を描くことが できます。
- アクリル絵の具が草を描くのに向いている理由
- 草を描く時の必須アイテム
- アクリル絵の具で草を描く5ステップ
- より魅力的な草を描くテクニック
- 初心者さんにありがちな失敗談と対処法
最初は失敗することもあるかもしれませんが、アクリル絵の具は乾けば何度でも上から修正ができる素晴らしい画材です。 失敗を恐れずに、あなただけの豊かな自然の表現を存分に楽しんでくださいね!
このブログでは、アクリル絵の具と猫の絵に関することをやさしく簡単に紹介しています。
また、YouTubeではわかりやすく動画でご覧いただけるように工夫しています。
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