こんにちは!
猫を愛するアクリル画家、松井京丸です。
↑『夜空を飛ぶ猫』
絵を描くとき、 「アクリル絵の具」と「ポスターカラー」 を見て
違うものだとは思っているけど
どう違うのかまでははっきりとわからない。
でも、使えるならちょっと使ってみたいかな?
と、なんとなく疑問に感じている人いませんか?

実は、この「アクリル絵の具」と「ポスターカラー」は
見た目が似ていても、仕上がり・耐久性・使い心地が大きく違うんです。
この記事では、「アクリル絵の具」と「ポスターカラー」の特徴・違い・向いている作品タイプまで、やさしく解説します。
この記事は、こんな方に役に立つ内容になっています。
それでは、よろしくお願いします。
アクリル絵の具とポスターカラーの基本的な違い
まずは「アクリル絵の具」「ポスターカラー」それぞれの基本的な性質について
違いを見ていきましょう。
アクリル絵の具とは?
■アクリル絵の具(リキテックスプライム)左から、絵の具そのまま、少しの水、多めの水。乾いた後もツヤ感があります。
アクリル絵の具は、アクリル樹脂を使った合成絵の具です。
乾くと耐水性になり、上から別の色を重ねても溶けません。
速乾性のため、すぐに次の重ね塗りができるので、作業がサクサクはかどります。
ツヤや透明感を出すことができ、プロのアーティストにも人気があります。
絵の具を重ねていくことで違った表情を演出できます。 少しの絵の具で美しく発色するのもポイントです! 水多めで水彩画風や、水少なめで油絵風 など 多彩な表現が可能です!
ポスターカラーとは?
■ポスターカラー(サクラクレパス)左から絵の具そのま、水少なめ、水多め。アクリル絵の具と比べて、かなりマットな質感です。均一に塗ることが出来ます。
ポスターカラーは、ガッシュ(不透明水彩)に似た水性絵の具で、水で溶けるタイプです。
乾いても耐水性がなく、水を加えればまた溶けます。
発色がはっきりしてマットな質感が特徴なので、デザイン画やポスター制作にぴったりです。
これぞポスターカラー!というくらい アクリル絵の具との違いを感じました。 水を混ぜてもムラになりにくかった です。
アクリル絵の具・ポスターカラー比較表
特徴
アクリル絵の具
ポスターカラー
乾くと
耐水性になる
水で溶ける
乾くスピード
早い
少し遅い
質感
ツヤあり
マットで不透明
向いている作品
アート作品
デザイン、イラスト、POP
支持体
紙、キャンバス、木、石など多彩
基本的に紙
保存性
高い(剝がれにくい)
低い(再溶解する)

アクリル絵の具とポスターカラーの表現と仕上がりの違い
次は、「アクリル絵の具」「ポスターカラー」両者の
得意な表現、作品の仕上がりの違いについて見ていきましょう。

アクリル絵の具とポスターカラーの「ツヤと透明感」の違い
■左側が「アクリル絵の具、右側が「ポスターカラー」です。
アクリル絵の具は、乾くと少しツヤが出ることが多く、透明〜半透明の層を重ねて深みを出せます。
一方、ポスターカラーは完全マット。光を反射せず、落ち着いた印象になります。

アクリル絵の具
光の表現・ツヤ・透明感がだせる
ポスターカラー
写真のような均一な塗りをだせる
アクリル絵の具とポスターカラーの「色の重ね方」の違い
■左側が「アクリル絵の具、右側が「ポスターカラー」です。
アクリル絵の具は、乾いた上に塗り重ねても下の色が動かないので、
重ね塗り・修正がしやすいです。
ポスターカラーは乾いても水で再び溶けるため、下の色が混ざってにじむことがあります。
実際に重ねて塗ってみると、黄色で塗っているときに、下の青色が溶け出して少しだけ緑がにじんできました。

アクリル絵の具とポスターカラーの作品の「保存性」の違い
アクリル絵の具は非常に高い耐久性があります。
一方、ポスターカラーは紫外線や湿気に弱いので注意が必要です。
それぞれの長所・短所もあわせて、違いを見ていきましょう。
アクリル絵の具の保存性
特徴
長所
短所
ポスターカラーの保存性
特徴
長所
短所
保存性比較表
項目
アクリル絵の具
ポスターカラー
耐水性
◎(乾くと防水)
×(再び水で溶ける)
耐光性
◎(退色しにくい)
△(紫外線で退色)
湿気への強さ
◎
×
長期保存
向いている
不向き(短期向け)
修正のしやすさ
×
◎
アクリル絵の具とポスターカラーの使う場面の違い
「アクリル絵の具」「ポスターカラー」それぞれが得意とする作品を見ていきます。
両方を組み合わせて使う「合わせワザ」も紹介!
「アクリル絵の具」は絵画・アート作品向き
■↑今回使用したアクリル絵の具(リキテックスプライム、リキテックスベーシックス、ターレンス・アムステルダム)
アクリル絵の具は、非常に高い耐久性があります。
数年〜数十年たっても、鮮やかさがほとんど変わらない。
なので、絵画やアートに向いているのです。
この性質があるので プロの画家やアート作家も展示・販売する作品 に使っています。
さらに、キャンバス・木・布・壁・石など、 いろいろな物に描けます。
絵画はもちろん、インテリアボード、置物などにも使えます!

■アクリル絵の具:リキテックスプライム
■アクリル絵の具:リキテックスベーシックス
■アクリル絵の具:ターレンス・アムステルダム
■↓初心者さん向けのアクリル絵の具の選び方の記事はこちらです。
■↓初心者さんでも簡単にアクリル絵の具アートが楽しめる方法を解説した記事はこちらです。
「ポスターカラー」はイラスト・デザイン向き
■↑今回使用したポスターカラー(サクラクレパス)
ポスターカラーはツヤがなく、ムラのないはっきりした色が特徴です。
「イラスト」や広告「デザイン」のように、色の境目をくっきり見せたいときに最適なのです。
絵の具が乾いたあとも同じ色味で仕上がるので、 配色を正確に確認 できます。
印刷やデジタル化(スキャン)を前提としたときに、
画面上の色と原画の色が近く再現できるのもポイントです。
また、ポスターカラーは主に画用紙・ボード用に作られています。
にじみにくく、紙にしっかり定着して、きれいに塗り重ねられます。
長時間作業しても筆が固まらず、気軽に練習できることもポイントですね。

■ポスターカラー(サクラクレパス)
両方を組み合わせる裏ワザ
アクリル絵の具とポスターカラーは、本来、両方を同時に混ぜるのはNG(性質が違うためムラになりやすい)です。
しかし「層ごとに使い分ける」ことで、単品使いにはない雰囲気を出すことが可能です。
アクリルで下地→ポスターカラーで仕上げる
ポイント
アクリル絵の具でしっかりした「ベース(背景)」を作り、
その上にポスターカラーでマットな物体や、くっきりした線や模様を描く方法です。
やり方
効果
コツ
アクリルの表面がツルツルすぎるとポスターカラーがのりにくいので、少しマットになるように薄めに塗ると◎。
ポスターカラーのマットでふんわりした猫が描けました!
ポスターカラーで下描き→アクリルで重ね塗り
ポイント
ポスターカラーで柔らかく下絵を描いておいて、
上からアクリル絵の具で色を加える方法です。
やり方
効果
コツ
ポスターカラーは水に弱いので、上から塗るアクリルはできるだけ「筆圧をかけすぎず、サッと塗る」と◎。
はっきりとした色の黒猫ちゃんが描けました!
アクリル絵の具とポスターカラーの合わせワザまとめ表
技法
向いている作品
ポイント
アクリル下地+ポスター仕上げ
デザイン画・イラスト
質感のコントラスト
ポスター下描き+アクリル塗り
風景画・柔らかい絵
ふんわりした色合い

ポスターカラーのおまけ情報【漫画原稿に最適な理由】
そのころはアナログ紙原稿がメインで、 ポスターカラーの黒と白には 大変お世話になったんです!
ポスターカラー黒=漫画のベタ
昔の漫画家さんは、ペン入れした後の“ベタ塗り”(黒く塗る部分・髪の毛や夜空とか)に、
ぺんてるやサクラクレパスのポスターカラー「黒」をよく使っていました。
① 発色が真っ黒でムラになりにくい
インクより濃くてマットに仕上がるから、印刷にしたときに引き締まって見える!
墨汁や製図インクだとツヤが出てスキャン時に反射しやすいけど、
ポスターカラー黒は光を吸い込むようなマットブラックだから愛用されていました。
② 紙を傷めにくい
インクより水分が少なく、にじみにくい。そして紙がヨレにくいのも魅力。
ベタ筆で大胆に塗っても、原稿が波打ちにくいんです。
昔はデジタル原稿ではなく、アナログな紙原稿が主流でした。
③ スキャン・写植向け
昔はアナログ撮影だったので、ツヤのない黒が一番安定していたのですね!
ポスターカラー白=漫画の修正
そして、間違いを直すときに使われたのが、
ポスターカラーの「白」です!
① 乾きが早く、上からペンがのる
乾くとすぐペン入れできるから、締切ギリギリでも間に合う!
修正液よりも自然で、紙と一体化しやすいのもポイント。
② トーンの上にも塗れる
ベタやトーンの上に白いハイライトを入れるときも、
ポスターカラー白ならムラなく、ふんわりした光が描けるのです。
ポスターカラーの「黒」「白」を試してみた!
■ポスターカラー(サクラクレパス「黒」「白」)
実際に、ポスターカラー黒でベタを塗ってみました。
筆で一気に塗ってもムラにならず、乾くとツヤが消えて、
黒の締まりがすごくきれいでした。
ポスターカラー白を塗って、乾いたあとにペンで描いてみたら、
するすると描けて感動!
ちょっと手でこすっちゃいましたけど(汗)
昔の漫画家さんがこれを愛用していた理由がわかります。
「ベタ黒:ポスターカラー」「修正:白ポス」 って「黄金コンビ」ですね!!!
アクリル絵の具とポスターカラーの違いについて【Q and A】
ここでは、アクリル絵の具とポスターカラーについての素朴な疑問にお答えしていきます。

アクリル絵の具とポスターカラーどちらの方が後片付けが簡単ですか?
どちらも水で洗い流せるので、後片付けは楽チンです。
しかし、アクリル絵の具は注意が必要です。
乾いて固まってしまうと水では落ちなくなってしまうので
使い終わったらすぐに片付けるようにしましょう!
筆はいったん水入れにさしておいたり、パレットは使い捨ての紙製にするなど
工夫次第で後片付けは簡単に なります。
アクリル絵の具
すぐに洗えば水で落とせます。
ポスターカラー
乾いても再び水で落とせるから手入れが簡単。
■↓アクリル絵の具を使用したパレットについての記事はこちらです。
■↓アクリル絵の具を使用した後の筆の洗い方についての記事はこちらです。
アクリル絵の具とポスターカラーは混ぜて使えますか?
アクリル絵の具とポスターカラーは基本的に別物と考えた方がよいです。
アクリルの方が乾燥が早く、ポスターカラーは粉っぽくマットなので、
混ぜると質感がちぐはぐになります。
乾き方やツヤが違うので、色ムラになることも。
混ぜるよりも、層で重ねて使う方がおススメ です。例えば「アクリル絵の具で下地→ポスターカラーで描く」などです。
アクリル絵の具とポスターカラーはどんな紙や素材に描けるの?
アクリル絵の具
画用紙だけでなく、キャンバス・布・木・石など、いろいろな物に描けます。
ポスターカラー
紙専用です。

まとめ:違いを知って選ぼう!
アクリル絵の具とポスターカラーの違いについて見てきました。
基本的な違い、表現・仕上がりの違い、使う場面の違い
二つの絵の具の合わせワザも紹介してきました。
それぞれの絵の具が持つ特徴を知って
あなたがどんな絵を描きたいかによって
上手に取り入れていきましょう!
久しぶりにポスターカラーに触れて もっと使ってみたくなりました!
アクリル絵の具とポスターカラー、どちらも魅力的な絵の具。
気軽に試してみてください。
あなたの表現の幅がぐんと広がると思います!
そして、 楽しい絵描きライフ を送りましょう。
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