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こんにちは!
猫を愛するアクリル画家、松井京丸です。
↑『海の小島とシーニャンズ』(アクリル絵の具)
服や床に着いてしまったアクリル絵の具が乾くととてもやっかいです。
大切な衣服や床についた絵の具を見て、「もう諦めるしかないかも…」と感じていませんか?
アクリル絵の具は一度乾くと強固な耐水性を持つため、通常の洗濯や洗剤では歯が立ちません。
しかし、この難敵も、オキシクリーン(酸素系漂白剤)の力を正しく使い、
適切な手順を踏めば、衣類や素材を傷めることなくきれいに落とせる可能性を秘めています。

それでは、よろしくお願いいたします
【基本】アクリル絵の具が「落ちにくい」2つの科学的な理由
アクリル絵の具の汚れが、水彩絵の具や泥汚れと比べて格段に落としにくいのは、その成分に秘密があります。
落とし方を正しく実践するためにも、まずは敵の正体を理解しておきましょう。
乾燥後に発現するアクリル樹脂の耐水性(原理の理解)
アクリル絵の具は、顔料を「アクリル樹脂(合成樹脂)」で固めたものです。
絵を描いている間は水に溶けて使えますが、いったん水分が蒸発して乾燥すると、アクリル樹脂が重合(ポリマー化)し、非常に強固な被膜を形成します。
この被膜こそが耐水性であり、乾いた後のアクリル絵の具が水に溶けない理由です。
一般的な洗剤の洗浄力だけでは、この樹脂の膜を分解することは困難なため、
汚れを浮かせるための特別なアプローチ、つまり酸素の力(漂白剤)や溶解力(溶剤)が必要になります。
アクリル絵の具の成分が乾燥し、一つひとつの小さな分子(モノマー)が鎖状に結合し、巨大な分子(ポリマー=樹脂)になることです。まるでプラスチックの薄い膜ができた状態だとイメージしてください。
時間の経過による繊維への固着(汚れの性質)
汚れが付着してから時間が経つと、
アクリル樹脂が繊維の奥深くまで入り込み、物理的・化学的にがっちりと固着します。
特に綿や麻などの天然繊維は、繊維の表面がデコボコしているため、
樹脂が絡みつきやすく、時間が経つほど落とすのが困難になります。
これが「乾いた汚れはもう無理」と言われる最大の原因です。
【実践】オキシクリーンを活用!服についたアクリル絵の具の落とし方(乾いた汚れ対応)
乾いてしまったアクリル絵の具の汚れに対して、最も効果的で生地へのダメージが少ない方法が、
酸素の力で汚れを分解するオキシクリーン(酸素系漂白剤)を使ったつけ置きです。
必要な準備物と漂白剤(オキシクリーン)を選ぶ際の注意点
- 酸素系漂白剤 :オキシクリーン(粉末タイプ推奨)または同等の粉末酸素系漂白剤
- 高濃度洗濯洗剤: 液体、粉末どちらでも可。最初に汚れを緩ませるために使用
- 40〜60℃のぬるま湯: 酸素系漂白剤の力を最大限に引き出すための最適温度
- バケツ/洗面器 :衣類全体が浸るサイズ
- 歯ブラシ:軽く叩き洗い用。こすりすぎは厳禁
- スニーカー洗い用ブラシ:歯ブラシより大きめ。
注意点: 必ず粉末タイプの酸素系漂白剤を使用してください。液体タイプ(過酸化水素)よりも粉末タイプ(過炭酸ナトリウム)のほうが、お湯に溶かすことで発生する酸素の量が多く、漂白効果が高いためです。ここを間違えると効果が激減します。
●↓オキシクリーン(粉末タイプ)
【基本手順】 4ステップで実践するつけ置き・揉み洗い
■↑アクリル絵の具が完全に乾いてしまった布で試します。すでに硬化しています。
この手順は、アクリル樹脂の固着を和らげ、 オキシクリーンで分解しやすくすること を目的としています。
- 洗剤で汚れを緩ませる(最初の揉み洗い):
- 汚れた部分をぬるま湯(40℃程度)で濡らし、その上に高濃度の洗濯洗剤を直接塗布します。
- 指の腹で汚れを広げないように、優しく揉み洗いを数分間行い、固まった絵の具をできる限り浮かせます。
- この時点で、ある程度色が溶け出すことを確認し、一度洗剤を洗い流します。
- オキシクリーン液でつけ置きする(酸素の力で分解):
- 新しいバケツに40〜60℃の熱めのお湯を用意します。(4リットル)
- 指定の分量のオキシクリーンを溶かし、衣類を1時間程度つけ置きます。(付属スプーン1杯)
- 汚れを叩き出す:
- つけ置き後、まだ汚れが残っている場合は、歯ブラシの先端にオキシクリーン液をつけ、繊維の方向に対して垂直に優しく叩き出します。絶対にこすらないでください。こすると繊維の奥に押し込まれてしまいます。
- 通常通り洗濯する:
- 最後に、つけ置きした衣類をいつも通り洗濯機で洗濯します。

■↓基本手順を実施した状態です。絵の具が薄かった部分は取れていますが、ガッツリついていた部分は残ってしまっています。
素材別チェックリスト:オキシクリーン使用時の色落ちと損傷リスク
オキシクリーンは強力な洗浄力を持つため、デリケートな素材や濃い色の衣類に使用する際は注意が必要です。
素材
使用可否
注意点
綿(コットン)
〇
ほとんど問題なし。最も適している。
ポリステル
〇
色落ちしにくいが、生地が傷まないよう長時間のつけ置きは避ける。
ウール・シルク
×
原則不可。動物性繊維はアルカリ性に弱く、縮んだり黄ばんだりする可能性がある。
麻(リネン)
〇
問題ないことが多いが、色物・柄物は事前に色落ちテストを推奨。
心配な物は、目立たない裏側などに溶液をつけて数分待つ「色落ちテスト」を実施しましょう。
特に高価な衣類やウール・シルクなどの動物性繊維、および「ドライクリーニング推奨」の服は、迷わず専門のクリーニング店に依頼することをおススメします。
【応用】オキシクリーンでも落ちない「頑固な汚れ」への対処法と代替手段
オキシクリーンで大方の汚れは落ちますが、
絵の具の量が多い場合や、完全に樹脂が固着してしまった場合は、
より強い溶解力を持つ溶剤が必要になります。
アクリル絵の具は、乾燥すると耐水性のプラスチック膜(樹脂)に変化するため、
普通の洗剤やオキシクリーン(酸素系漂白剤)だけでは完全に溶かしきれないことがあります。
オキシクリーンで落ちたのは、表面の顔料や結合が弱かった部分です。

1. 消毒用エタノール(無水エタノール)を使う
■↑上部分には「アルコール」を、下部分には「クレンジングオイル」を塗布しました。
エタノールはアクリル樹脂を溶かすのに最も手軽で効果的な方法です。
手順:
- 汚れの下にタオルを敷きます。
- 乾燥した絵の具の部分にエタノールをたっぷり含ませ、1〜2分置きます。
- 絵の具がふやけてきたら、使い古しの歯ブラシで叩くか、外側から内側へとかき出すようにこすります。
- 浮き出た汚れを下のタオルに移すイメージで繰り返します。
- ポイント: 除菌スプレー(アルコール濃度が高いもの)でも代用可能です。
2.クレンジングオイル(メイク落とし)を使う
絵の具の「油分」と「樹脂」を浮かせるのに役立ちます。
- 手順:
- 乾いた状態の布にクレンジングオイルを直接塗り込みます。
- 指先で揉み込むようにして、絵の具の膜を砕いていきます。
- 少しずつぬるま湯を加えて乳化させ、洗い流します。
- ポイント: 1のエタノールと併用するとより効果的です。
かなり落とすことができましたがすべてを落とすことはできませんでした。
やはり完全に乾いて固まっている硬化したアクリル絵の具は専用リムーバーが必要なようです。
3. 専用のリムーバーを使う
もし、上記の方法でもダメな場合は、市販の「画材用リムーバー」を検討してください。
ターレンス・スーパークリーナー
固まったアクリル絵の具を溶かす専用の溶剤です。
ただし、布の地色まで落としてしまう可能性があるため、必ず目立たない場所でテストしてください。
●↓ターレンススーパークリーナー
リムーバーの使用方法
- 布の下にタオルを敷く:汚れが裏側に移らないよう、不要なタオルや厚紙を敷いてください。
- クリーナーを染み込ませる:固まっている部分に直接クリーナーを垂らします。
- 少し置いてから揉み出す・叩き出す:数分置くと、アクリル樹脂がふやけて柔らかくなってきます。そこを指で揉んだり、使い古しの歯ブラシでトントンと叩き、繊維の奥の絵具を浮かせます。
- 拭き取りとすすぎ:浮いた汚れをタオルで吸い取ります。
- すすぎ:最後はぬるま湯と石鹸(または中性洗剤)でしっかり洗い流してください。
専用リムーバー使用上のアドバイス
-
色落ちチェック: 念のため、服の目立たない場所で色がハゲないか確認してから広範囲に使ってください。
-
換気: 念のため窓を開けたり、換気扇をつけて作業することをおすすめします。
メーカーの取扱説明書を必ず読み、それに従ってください。
【注意点】生地を守るために
-
生地へのダメージ: 強くこすりすぎると、布の繊維が毛羽立ったり傷んだりします。「叩き出す」イメージで行ってください。
-
色落ち: エタノールや溶剤は、服の染料まで落としてしまうことがあります。必ず裏地などで試してから行いましょう。
-
アイロンはNG: まだ汚れが残っている状態でアイロンをかけると、熱で樹脂がさらに強固に定着してしまいます。
【失敗談】 強くこすりすぎて失敗した体験談と回避策
汚れを落とそうと焦るあまり、力を入れてゴシゴシとこすってしまうのは、
アクリル絵の具落としで最もよくある失敗です。

さらに、それをどうにかしようとして、ゴシゴシこすってしまい、その部分だけ記事が毛羽立ってしまいました!
シミ抜きは根気と、正しい方法での「叩き洗い」が大切ですね。
【発展】服以外!壁や床についたアクリル絵の具の落とし方
服と違い、壁や床はつけ置きができません。
素材を傷つけないよう、最小限の力で汚れを拭き取る方法を解説します。
壁の素材別:傷つけずに絵の具を除去するコツ
- ビニールクロス(一般的な壁紙):
- ぬるま湯で湿らせた布に、少量の食器用洗剤をつけて優しく拭き取ります。
- 落ちない場合は、アルコール(エタノール)を試しますが、変色リスクがあるため必ず目立たない場所でテストしてください。
- 漆喰・土壁(デリケートな素材):
- 絶対に水や洗剤を使わないでください。水を吸い込むとシミになります。
- 絵の具の塊だけをカッターの刃などでそっと削り落とすのが限界です。それ以上は専門業者に相談しましょう。
漆喰や土壁などの天然素材は水を吸いやすく、シミや変形の原因になります。水拭きは厳禁とし、どうしても気になる場合は専門の補修業者に相談しましょう。
フローリングやカーペット:オキシクリーンを使った応急処置
- フローリング:
- 固まった絵の具をヘラなどでできるだけ削り取ります。(傷つかないように注意)
- オキシクリーン(粉末)を少量のお湯で濃いペースト状にし、汚れた部分に数分間塗りつけて放置します。
- ペーストを拭き取った後、水拭きします。
- ワックス塗布をしているフローリングは、ワックスが剥がれないように水拭きし、ワックスの再塗布を検討します。
- カーペット:
- 上記同様に濃いオキシクリーンペーストを塗り、古い歯ブラシなどで叩き込みます。
- ペーストを拭き取り、水拭きを繰り返して洗剤分を取り除きます。
壁や床の場合、服と違って代わりがきかないのが難しいところです。
必ず「見えない場所で試す」という一手間を惜しまないでください。
失敗のリスクを最小限に抑えられます。

絵の具を舐めないようにとの思いで猫を追いかけまわしたら、さらに逃げ回り(!)
絵の具被害は、床、ベッド上の布団、机など家中に!!
お陰で、アクリル絵の具の落とし方について学ぶことができました~。
パレットや道具の洗浄方法
パレットは完全に乾く前ならヘラで簡単に剥がせます。
完全に固まってしまった場合は、パレットをバケツに入れ、
上記と同じ高濃度のオキシクリーン溶液に長時間(一晩など)つけ置きすると、
絵の具が剥がれやすくなります。
しかし、そのような手間をかけるのは時間がもったいないと思う方は
紙パレットや牛乳パックパレットという手もあります。(おすすめ!)
■↓パレットについたアクリル絵の具の落とし方や、使い方の工夫の記事はこちらです。
【Q & A】アクリル絵の具の落とし方:よくある質問

Q. アクリル絵の具が落ちた後にオキシクリーンの臭いは残りますか?
A.オキシクリーンは酸素の力で汚れを分解するため、嫌な臭いの元も分解します。
そのため、通常は不快な臭いが残る心配はありません。
むしろ、消臭効果も期待できます。
ただし、アセトン(除光液)を使った場合は、その溶剤の匂いが残ることがあるため、
最後の洗濯でしっかりと洗い流すようにしてください。

Q. 水彩絵の具や油性絵の具でも同じ方法で落ちるの?
A.それぞれの絵の具の特色が違うため、落とし方も変わってきます。
- 水彩絵の具: 水溶性であるため、オキシクリーンを使うまでもなく、通常は熱いお湯と洗濯洗剤の揉み洗いで簡単に落ちます。オキシクリーンは最終手段です。
- 油性絵の具: アクリル絵の具と異なり、油性絵の具は「油」がベースです。そのため、オキシクリーン(水溶性)は効果が薄く、クレンジングオイルやベンジンなどの油性溶剤を最初に使う必要があります。落とし方が根本的に異なるため注意が必要です。
Q. 色柄物など、色落ちが心配な服のシミ抜きはどうすればいいですか?
A.シミ抜きを行う前に、必ず「色落ちテスト」を行いましょう。
服の縫い代や裾の裏側など、目立たない場所にオキシクリーン溶液を少量つけ、5分ほど放置します。
白い布やティッシュで軽く叩き、色が移らないかを確認してください。
少しでも色落ちや変色が見られた場合は、その服へのオキシクリーン使用は避け、
迷わず専門のクリーニング店に相談してください。
大切な衣類を自己流で傷めるリスクを回避できます。

まとめ:もうアクリル絵の具の汚れに悩まないために
アクリル絵の具が乾燥して固まってしまった布を使って、オキシクリーンを検証してきました。
重要なポイントは、アクリル樹脂の頑固な膜を破壊するために、
酸素系漂白剤(オキシクリーン粉末)の力を借りることでした。
40〜60℃のぬるま湯でつけ置きをし、汚れを浮かせてから、
歯ブラシで優しく叩き洗いをしてくだ
強くゴシゴシとこする行為は繊維の奥に絵の具を押し込むだけなので厳禁です。

また、ウールやシルクなどのデリケートな素材、
または高価な衣類の場合は、家庭で無理せずプロに依頼するのが賢明です。
しかし、完全にカチカチに硬化してしまったアクリル絵の具は
残念ながらキレイに落とすことは困難です。
できればアクリル絵の具の汚れにすぐに気づいて、すぐに洗ったり拭いたりできれば
ほとんどの物が落とすことが出来ます。
ですので、やはり 予防が大切 とも言えますね。
絵描き用服を身に着けること。 汚れを気にしなくていい服を着て、のびのびと描きましょう!


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今回の記事では、実際にアクリル絵の具が乾燥して硬化してしまった布を使って
オキシクリーンを検証していきます!!