こんにちは!
元看護師のアクリル画家、松井京丸です。
2匹の愛猫と暮らしながら、癒しと解放をテーマに制作活動をしています。
『瞬きのあいだ』© 2026 アクリル・ネコ/松井京丸(アクリル絵の具)
布に絵を描いてみたいと思ったとき、まず迷うのが、『アクリル絵の具』と『布用絵の具』のどちらを使えばいいのか、ではないでしょうか。
どちらも似たような見た目のパッケージで売られていることが多く、初心者の方が違いを理解せずに購入してしまうケースも少なくありません。
本記事では、毎日アクリル絵の具を扱うプロの画家としての知見と、
元看護師ならではの実験的・科学的な視点も踏まえて、
布用絵の具とアクリル絵の具の成分や特徴の違いから、洗濯耐性の違い、そして目的別の選び方まで、わかりやすく整理していきます。
最後まで読んでいただければ、Tシャツやトートバッグなど「着る・使う」布アイテムを作りたい方も、 タペストリーのように「飾る」布作品を作りたい方も、自分に合った絵の具を迷わず選べるようになります!
【特徴】アクリル絵の具と布用絵の具、そもそも何が違うの?
■↑左側が「布用絵の具」、右側は普段から愛用している「アクリル絵の具」です。
この章では、この2つの絵の具が、成分レベルでどう違うのかというところまで踏み込んで解説します。

アクリル絵の具とは?特徴と成分
アクリル絵の具は、顔料をアクリル樹脂(アクリルエマルジョン)で練り合わせた絵の具です。
乾くと耐水性のある塗膜を作るという特性があり、キャンバスや紙、木材など幅広い素材に描けることが最大の魅力です。
ただし、この塗膜は布の繊維に染み込むのではなく、表面に「膜」として乗る形になるため、布の伸縮によってひび割れが起きやすいという弱点があります。
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メリット:
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発色が鮮やかで色の種類が豊富。
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キャンバスやボードなどに描く際、凹凸や立体感(マチエール)を出しやすい。
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デメリット:
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布に描くと繊維の表面に乗るだけになりやすく、洗濯を繰り返すとパリパリ割れたり剥がれたりしやすい(今回の実験では1回目から色落ちが見られました)。
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塗った部分の布地がカチカチに硬くなる。
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●アクリル絵の具:リキテックスプライム
布用絵の具とは?特徴と成分
布用絵の具は、布の繊維に色素をしっかり密着させることを目的として作られた絵の具です。
顔料に加えて、布との接着性を高めるバインダー(接着成分)が配合されており、繊維になじみながら、しなやかな膜で定着する設計になっています。
そのため、洗濯を繰り返しても色落ちしにくいという特性を持っています。
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メリット:
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洗濯や摩擦に強く、Tシャツやトートバッグなど日常使いするものに適している。
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乾いた後も布が突っ張りにくく、着心地や手触りを維持しやすい。
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デメリット:
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一般的なアクリル絵の具に比べてカラーバリエーションが限られることがある。
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●布用絵の具:ぺんてる・ファブリックファン
2種類の絵の具の決定的な違いを比較表でチェック
ここまでの内容を整理すると、両者の違いは「色素の定着の仕組み」にあるとわかります。
アクリル絵の具は表面に膜を作るタイプ、布用絵の具は繊維になじみながら、しなやかな膜で定着するタイプという違いです。
この違いが、後述する洗濯耐性やひび割れやすさに直結してきます。
| 【一般的な違い】 | ||
| 項目 | 一般的なアクリル絵の具 | 布用絵の具(ファブリックペイント) |
| 主用途 | キャンバス、木、紙、プラスチックなど | 綿、麻、ポリエステルなどの布地 |
| 乾燥後の質感 | 固くプラスチック状になり、ゴワつきやすい | 比較的しなやかで、布の風合いを損ねにくい |
| 伸縮への耐久性 | 布を曲げたり引っ張るとひび割れ・剥離しやすい | 繊維の伸縮に追従し、ひび割れにくい |
| 洗濯への耐性 | 洗濯の摩擦で剥がれやすい | 繊維に密着しやすく、洗濯しても落ちにくい |
| 定着の処理 | 乾燥後にアイロンで熱を加えると定着しやすい(メディウム併用推奨) | 製品により異なる(アイロン必須の物と不要の物がある)。必ずパッケージを確認 |
| 発色・隠蔽力 | 高い(厚塗りや重ね塗りが得意) | 染めるような質感のものから不透明タイプまで様々 |
【検証】アクリル絵の具は布に描ける?布用絵の具の代用は可能?
■↑アクリル絵の具にファブリックメディウムを混ぜたものでステンシルしました。
「家にアクリル絵の具しかないけれど、布用絵の具の代わりに使えるのかな?」 という疑問は、多くの方が一度は持つのではないでしょうか。この章では、アクリル絵の具を布用絵の具の代用として使う方法と、その限界について具体的に解説します。
アクリル絵の具は水で薄めずに使えば布にも描ける?
アクリル絵の具は水で薄めずに使うことで、布の上でも発色よく描くことができます。
水で薄めすぎると布に染み込んで滲んでしまうため、濃度の調整が重要なポイントです。
ただし、この方法で描いた場合、絵の具は繊維になじみにくく表面に留まるため、洗濯には強くないという点は変わりません。
ファブリックメディウムを混ぜると布用絵の具に近づく?
■↑アクリル絵の具に混ぜる「ファブリックメディウム」がこちら。
アクリル絵の具にファブリックメディウムという専用の補助剤を混ぜることで、布用絵の具に近い柔軟性と洗濯耐性を持たせることができます。
ファブリックメディウムは絵の具の伸縮性を高め、乾燥後の塗膜が硬くなりすぎるのを防ぐ役割を持っています。
■↑アクリル絵の具とファブリックメディウムを混ぜたものでエプロンにステンシルしました。

描く時も、布に絵の具が乗りやすかったです。
●ファブリックメディウム:ターナー色彩
■↓アクリル絵の具での布染め方法について、布選びから染め方の基本、実践的な布染め方法、応用的な布染めの楽しみ方まで網羅しています。ぜひ参考にしてくださいね。
■↓ダイソーのアクリル絵の具を使って布染めしました!全体染め、部分染めを分けて解説。洗濯実験も紹介。ぜひ参考にしてくださいね。
【洗濯実験】アクリル絵の具で描いた布は洗うとどうなる?
布アイテムを作るうえで最も気になるのが、洗濯したときにどうなるかという点だと思います。
この章では、アクリル絵の具と布用絵の具、それぞれの洗濯耐性と、曲げたときのひび割れやすさについて解説します。
アクリル絵の具(メディウム使用)の洗濯耐性
ファブリックメディウムを混ぜたアクリル絵の具は、何も混ぜない場合と比べて洗濯耐性が向上します。
ただし、専用に開発された布用絵の具と全く同じレベルの耐久性になるとは限らず、洗濯機での洗濯ではなく手洗いを推奨する製品もあります。
布用絵の具の洗濯耐性
布用絵の具は繊維に密着しやすい設計になっているため、正しく乾燥・定着させれば洗濯を繰り返しても色落ちしにくい特性があります。
多くの製品は、乾燥後にアイロンで熱を加えることでさらに定着性を高める仕組みを採用しています。
今回、実験で使用したのは『ぺんてる・ファブリックファン』です。
こちらの商品は「アイロンいらず」との記載があります。
パッケージに記載された乾燥時間や定着方法は、メーカーごとに異なるため必ず確認する必要があります。
アクリル絵の具と布用絵の具での洗濯による比較実験
- 条件:乾燥1日/手洗い→洗濯機(ネット・通常コース)/洗濯は各1回
- コットンの布を使用。(素材によって定着が違うことがあります)
こちらは「布用絵の具」です。なめらかで、ゆるめのテクスチャーです。
アクリル絵の具+ファブリックメディウムは1:1で混ぜました。
※混ぜる割合は、お使いの製品の表記に従ってください。
(1)コットンの布に「アクリル絵の具+ファブリックメディウム」「アクリル絵の具のみ」「布用絵の具」でそれぞれ描いてみます。

(2)丸1日置いて、しっかり乾燥させた後、中性洗剤と流水で手洗いをしました。

(3)あて布をしてアイロンをかけます。比較のため、青色のみにアイロンをかけました。

(4)次は、洗濯機で洗濯をしてみました。ネットに入れて通常コースで洗いました。

曲げたときのひび割れやすさの違い
布は着用したり折りたたんだりする過程で常に曲げ伸ばしされる素材です。
表面に膜を作るタイプの絵の具(アクリル絵の具)は、この曲げの動きに追従できずひび割れを起こしやすいという弱点があります。
一方で繊維になじむタイプの絵の具(布用絵の具)は、布そのものの柔軟性を保ちやすいため、ひび割れが起きにくい傾向にあります。
折り曲げてみて、その違いを確かめてみます。
ファブリックメディウムを使用した場合は、その中間くらいでした。
肌触りの違い
着用する場合や手に触れる物の場合、肌触りも気になりますよね。

アクリル絵の具と布用絵の具【今回の実験結果】比較表
12本セット9000円程度 8本セット2000円程度 ファブリックメディウムを入れると描きやすさは出る 布へにじまず、なじむ
【今回の実験結果】
アクリル絵の具
布用絵の具
今回使用したもの
リキテックスプライム
ぺんてる・ファブリックファン
テクスチャー
しっかりめ
なめらかでゆるめ
色展開
全80色
全23色
価格
1本30ml449~1056円程度
1本12ml300円程度
布への描きやすさ
ひっかかりがあり描きにくい
なめらかで描きやすい
手洗い後の色落ち
アクリル絵の具のみでは色落ちが見られた
色落ちは見られなかった
洗濯機後の色落ち
アイロン定着なしでは色が薄くなった
色落ちは見られなかった
ひび割れ
バリっとした感じがあるので今後ひび割れの可能性あり
しなやかでひび割れの心配はなさそう
手触り
硬さを感じる
柔らかい

しかし、今回、布用絵の具を実際に使ってみて、多くの違いがあることを知りました。
専用に作られた絵の具だけあって、描きやすさ、耐久性、なめらかさなど、
布へ描くという点で、今回の条件では布用絵の具の勝利 でした!
【目的別】アクリル絵の具と布用絵の具の使い分け
ここまでの違いを踏まえると、どちらを選ぶべきかは 「その布アイテムをどう使うか」 によって変わってきます。
この章では、実際のシーン別にどちらの絵の具を選ぶべきかを整理します。
Tシャツやトートバッグなど「着る・使う」布製品を作りたい場合
■↑Tシャツにアクリル絵の具とファブリックメディウムを混ぜたもので描きました。(まだ布用絵の具を使用したことがなかったころに描きました)
日常的に着用したり、洗濯したりする布アイテムを作る場合は、布用絵の具を選ぶのが安心です。
繰り返しの洗濯や着用による曲げ伸ばしに耐えられる設計になっているため、長く使うアイテムに向いています。
■↓上の画像のTシャツの制作過程を解説した記事はこちらです。
タペストリーやキャンバス風の「飾る」布作品を作りたい場合
■↑布製のポーチにアクリル絵の具とファブリックメディウムを混ぜたものでステンシルしました。こちらは今、ペンケースとして使用しています。
一方で、洗濯をせず飾ることを目的とした布キャンバスやタペストリーであれば、アクリル絵の具でも十分に活躍します。
アクリル絵の具は色の発色や重ね塗りの表現力に優れているため、絵画的な作品づくりには向いていると言えます。
初心者がまず1本選ぶならどちらがいいか
Tシャツなど着るものを作りたいなら布用絵の具、キャンバス風に飾る作品を作りたいならアクリル絵の具、という考え方がシンプルでわかりやすい判断基準になります。

・飾って楽しむ布作品 → アクリル絵の具+ファブリックメディウム(必要に応じて)
【注意点】絵の具で布に描くときの下準備と工夫
絵の具の種類を選んだあとは、実際に描くための下準備も仕上がりを左右する重要な工程です。
この章では、糊落としから裏移り対策まで、布に描く前後のひと手間を解説します。
描く前の糊落としが必要な理由
新品の布には、風合いを保つための糊が付いていることが多く、この糊が残っていると絵の具の定着を妨げてしまいます。
そのため、描く前に一度洗濯して糊を落としておくことが、色落ちを防ぐための基本的な工程になります。
裏移りを防ぐ工夫
布は絵の具を吸い込みやすい素材のため、そのまま描くと絵の具が裏側まで染み出てしまう「裏移り」が起こることがあります。
これを防ぐには、布の下に厚紙やビニールシートなどを挟んでから描くという工夫が効果的です。

しっかり乾かす・定着させるひと手間
描いたあとは、絵の具の種類ごとに定められた乾燥時間をしっかり守ることが大切です。
アイロンで熱を加えて定着させるタイプが多いため、乾燥後の工程も忘れずに行いましょう。
布用絵の具では、メーカーによってはアイロン不要の絵の具もありますので、注意書きにしたがってください。
【体験談】アクリル絵の具と布用絵の具を使って布に描いてみて感じたこと
■↑ランチョンマットにアクリル絵の具とファブリックメディウムを混ぜたものでワンポイントイラストを描きました。

実際に布用絵の具とアクリル絵の具を使い比べた感想
これまでは、布に描く時は「アクリル絵の具とファブリックメディウムを合わせたもの」で描いていました。
布製品に描くことをメインとしているわけではないので、これで十分だと思っていました。
(普段は木製パネルにアクリル絵の具を使って描いています。)
今回、初めて布用絵の具を使ってみて、さすが専用の道具だけあると感心しました。
まず、とてもなめらかで描きやすい。
そして、洗濯耐性もあって安心。
たくさんの布製品アートに挑戦したい方に、おすすめの絵の具だと思いました。
ペットの絵を布アイテムにする楽しさ
布製品に絵を描くことの楽しさは、作ったものを日常使いできることじゃないでしょうか?
Tシャツなら着ることができる、トートバッグは持ち歩ける、クッションはソファの上に並べられる、などなど。
作った作品を身近に置けるので、愛猫の絵を布アイテムにすると、いつも一緒にいられます。

布製のキャリーバッグに、愛猫を描いてみようかと思いつきました。
■↑布用絵の具で描いてみました!




【Q & A】アクリル絵の具と布用絵の具の違いについてよくある質問

Q:布用絵の具はアクリル絵の具で代用できますか?
A:ファブリックメディウムを混ぜることで代用は可能です。
しかし、専用に作られた布用絵の具と全く同じ耐久性にはならない場合があります。
洗濯の頻度が高いアイテムには、布用絵の具の使用をおすすめします。
Q:アクリル絵の具で描いた布は洗濯できますか?
A:色落ちやひび割れの可能性があります。
洗濯予定のある布アイテムには、ファブリックメディウムを混ぜるか、布用絵の具を使うことをおすすめします。

Q:アイロンは絶対に必要ですか?
A:洗濯する布なら、アクリル絵の具で描いた場合は行うのがおすすめです。
アイロンの熱を加えることで、絵の具の膜が布に定着しやすくなり、洗濯時の色落ちや摩擦による剥がれを防ぎやすくなります。
必ず「あて布」をして、スチームなしの中温(140~160℃)でアイロンをあてましょう。
布用絵の具の場合は、メーカーによっては「アイロンいらず」というものもあるので、製品の表記を確かめてくださいね。
Q:ファブリックメディウムはどこで買えますか?
A:画材店やオンラインストアで購入できます。
ファブリックメディウムは画材店や、オンラインの画材通販サイト、Amazonや楽天市場などで購入することができます。

Q:布用絵の具はどこで買えますか?
A:画材店やオンラインストアで購入できます。
様々な種類の絵の具が売られていると、どこにあるのかわからないこともよくあるので、店員さんに聞いてみましょう。
夏休み期間などは、店頭に大きく並んでいるのを見たことがあります。

【まとめ】アクリル絵の具と布用絵の具は目的で選ぼう!
布用絵の具とアクリル絵の具は、どちらも布に描けるという共通点がありながら、色素の定着方法や洗濯耐性、ひび割れやすさに明確な違いがあります。
洗って使う布アイテムには布用絵の具、飾る目的の布作品にはアクリル絵の具(必要に応じてファブリックメディウムを併用)という基準で選ぶことで、失敗を減らすことができます。
・布用絵の具は繊維になじんで定着し、洗濯耐性が高い
・アクリル絵の具は表面に膜を作り、飾る作品に向いている
・ファブリックメディウムを使えばアクリル絵の具でも布に近づけられる
・洗って使うか、飾るかで絵の具を選び分けるのが失敗しないコツ
キャンバスや紙だけでなく、いろいろな物に描けるのがアクリル絵の具の良い所です!
好きな布に、好きな物を描く……。
その時間は大切な癒しの時間となります。
この記事で紹介したポイントさえ押さえれば、あとは自由にあなただけのアートを作り出すだけ。
まずは、ランチョンマットにワンポイントで猫ちゃんを描くことから始めてみませんか?
このブログでは、アクリル絵の具と猫の絵に関することをやさしく簡単に紹介しています。
また、YouTubeではわかりやすく動画でご覧いただけるように工夫しています。
よろしくお願いします!
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