こんにちは!
元看護師のアクリル画家、松井京丸です。
2匹の愛猫と暮らしながら、癒しと解放をテーマに制作活動をしています。
『瞬きのあいだ』(アクリル絵の具)
アクリル絵の具で描き始める際、 「ジェッソ」という言葉を耳にして、何のために必要なのか疑問に 思っていませんか?

本記事では、毎日アクリル絵の具を扱うプロの画家としての知見と、
元看護師ならではの実験的・科学的な視点から、
下地(ジェッソ)の役割から具体的な使い方、初心者が失敗しないためのコツをわかりやすく解説します。
この記事を読めば、下地への不安がなくなり、より思い通りに絵が描けるようになりますよ。
【理由】アクリル絵の具に必要な下地(ジェッソ)の役割5つ
ジェッソは、必ず塗らなくてはいけないものではないですが、塗る塗らないでは大違いなんです。
アクリル絵の具は非常に便利な画材ですが、描く対象(支持体)によっては直接塗るとうまく色が乗らないことがあります。
そこで活躍するのが、下地材であるジェッソなのです。
- ジェッソが持つ5つの重要な役割
- 下地を塗らないことで起きるトラブル
1. 絵の具の定着を良くする(剥がれ防止)
ジェッソは、絵の具とキャンバスなどの土台をしっかり密着させる接着剤のような役割 を果たします。プラスチックや金属、滑らかな木材などに直接塗ると、乾いた後に絵の具がペリペリと剥がれてしまうことがありますが、ジェッソを塗ることでこれを防げます。

ある時、なぜかキャンバスにそのままアクリル絵の具で描き始めたことがありました。
描いている途中で、筆のひっかかりに違和感を覚えて、下地(ジェッソ)のありなしの違いを実感しました。
2. 発色を鮮やかにする(本来の色を出す)
ジェッソを塗ることで、土台の色を隠し、その上に乗せる絵の具の発色を助けます。
特に透明感のある色を使う場合、下地が白いと驚くほど色が鮮やかに浮かび上がります。

3. 絵の具の吸い込みを抑える(適度な筆滑りの実現)
木材や布に直接描くと、 絵の具の水分がどんどん吸い込まれてしまい、色がかすれたり、伸びが悪くムラになることが あります。
ジェッソで表面をコーティングすることで、適度な筆滑りを実現し、絵の具の消費も抑えることができます。

下地を塗らずに塗ってみたところ、絵の具がうまく馴染まずムラになってしまいました。
その後、下地を塗ってから再びアクリル絵の具を塗ってみると、とても塗りやすく、発色もしっかりしました。
■↑木材小物に下地(ジェッソ)を塗っているところ。
■↑下地(ジェッソ)を塗った上からアクリル絵の具を塗っているところ。
4. 表面の凹凸を整える(描きやすさアップ)
キャンバスの布目や木材のざらつきを、ジェッソで埋めることで滑らかに整える ことができます。するするとした滑らかな描き心地になり、細かいタッチもとても描きこみやすくなります。
逆に、あえて筆跡を残して厚塗りをすることで、作品に力強い質感を出すことも可能です。

5.耐久性を高める(長期保存)
木から出るアク(黄ばみ)が将来的に絵の具に染み出してくるのをブロックするため、作品の耐久性を高めることになります。

【選び方】初心者が迷わない!下地(ジェッソ)の特徴と種類
画材店に行くと、たくさんの種類のジェッソが並んでいて驚くかもしれません。
下地(ジェッソ)の特徴・種類を知って、自分にピッタリの物を選びましょう。
- ジェッソの特徴
- メーカーによる違いを知る
- カラージェッソの活用法
下地(ジェッソ)の成分と特徴
ジェッソの特徴
特徴
水溶性ですが、乾くと耐水性になります。
成分
炭酸カルシウムとチタニウムホワイトの顔料を、アクリル溶剤で混ぜてあります。
色
基本のものは白色ですが、色のついたカラージェッソもあります。
ジェッソの注意点
使用できる素材
木・パネル・紙は吸い込みが強いため、ジェッソを2〜3回塗る。アクリル・油彩兼用キャンバスは、既製品は下地済みだが、強度を上げるためにジェッソを塗っても良い。あとは石、コンクリート、革製品などにも使用可。
使用できない素材
油彩用キャンバスでは、水溶性ジェッソは剥がれるため使用不可。
使用に注意が必要な素材
金属・プラスチック・ガラスは、専用のプライマーを下塗りし、その上にジェッソを塗ります。

その時は、胡粉(貝殻を焼いて粉上に砕いたもの)を膠水(にかわすい)で溶いて、下地にしていました。
貝殻の主成分は石灰(炭酸カルシウム)。
バインダーとして使われる膠水は有機たんぱく質で、ゲル化する特性があります。
白色のジェッソは、白い絵の具としても使うことが出来ます。
しかし、炭酸カルシウムが混ざっている分、通常のチタニウムホワイトより顔料の量が少ないので隠ぺい力は劣ります。でも、コスパは良いです。
メーカーによって違う特徴を知る
下地(ジェッソ)を扱っているメーカーは何社かありますが、ここでは主要メーカーである「ホルベイン」と「リキテックス」を紹介します。

ホルベイン
下地(ジェッソ)を扱うメーカーの中でも ホルベインでは「粒子の粗さ」の違いで下地(ジェッソ)の種類が選べるのが特徴 です。
最も一般的なのは「M」で、どのような絵にも万能に使えます。
細かい描写をしたい場合は、表面が滑らかになる「S」を、重厚な質感を出したい場合は「L」「LL」を選びましょう。
ジェッソS
1番細かい画面を作ることができます。陶器のようなツルツルの画面になるので細密画に向いています。
ジェッソM
平滑な画面になります。絵の具のノリも良いです。 初心者さんや、迷ったときはこれ がいいと思います。
ジェッソL
適度なざらつきのある画面が作れます。
ジェッソLL
1番粗い画面になります。デコボコの砂目のようなザラザラの画面です。
クリアジェッソM
半透明で、素材が完全に消えない状態で絵の具のノリを良くします。
鉛筆で下描きをした上に塗ると、絵の具で鉛筆の線が消えなくなります。
クリアジェッソL
半透明で素材が完全に消えず、ざらつきのある画面が作れます。
カラージェッソ
混色して作るよりもきれいな色を出しつつ画面を作れます。
●↓ホルベイン・ジェッソS
●↓ホルベイン・ジェッソM
●↓ホルベイン・ジェッソL
●↓ホルベイン・ジェッソLL
●↓ホルベイン・クリアジェッソM
●↓ホルベイン・クリアジェッソL
リキテックス
乾燥が早く、隠ぺい力の高いジェッソ です。胡粉ジェッソという特徴的な下地(ジェッソ)を扱っており、テクスチャーも楽しめます。
ジェッソ
隠ぺい力のある艶消しホワイトです。浸透力が良く、速乾性です。
クリアジェッソ
半透明で、もとの素材の質感を活かせます。
ブラックジェッソ
艶消しで高い隠ぺい力を持ちます。絵の具の黒としても使用可能。
カラージェッソ
地色をあらかじめ鮮やかな状態にしておきたいときに便利。
胡粉ジェッソ
胡粉いりのジェッソです。少しざらついた質感です。
●↓リキテックス・ジェッソ
●↓リキテックス・クリアジェッソ
●↓リキテックス・ブラックジェッソ
●↓リキテックス・胡粉ジェッソ
カラージェッソで表現の幅を広げる
ジェッソには白だけでなく、黒や他の色がついた「カラージェッソ」もあります。
例えば、黒い下地から描き始めると、重厚な雰囲気の作品を作りやすくなります。

このように同系色を塗っておくことで、その後に描いていく色と画面が馴染みます。
●↓ホルベイン・カラージェッソ
●↓リキテックス・カラージェッソ
バニーコルアート :鮮やかな発色とリキテックスの多様な質感が魅力。
ホルベイン :アクリル絵の具さけでなく、ジェッソ、メディウム、水彩絵の具など様々な画材を扱う。
【実践】失敗しない!ジェッソの基本的な塗り方と手順
ジェッソの塗り方は難しくありませんが、いくつかのコツを押さえるだけで仕上がりがプロ並みになります。
- 基本的な道具と準備
- 綺麗に仕上げるための重ね塗りのコツ
■↑下地(ジェッソ)を塗り終えたパネル。

準備するものと水で薄める比率
準備物品
- ジェッソ
- 筆またはハケ
- 小さな容器
- 水
- 水入れ
ジェッソは基本的には原液のまま使用できますが、水で少し薄めて塗ると塗りやすくなります。
水の量は約20〜25%までにします。

塗りやすく、厚塗り防止にもなります。
下地(ジェッソ)の塗り方
- 小皿などにジェッソを出します。水の量はジェッソの約20〜25%までにします。

- 泡立てないように気をつけて、混ぜます。

- 一度塗り: 一方向に薄く塗ります。パネルの場合、下の木目が透けて見えるくらいです。

- 乾燥: 20〜50分ほど自然乾燥(ドライヤーも可)。
- 重ね塗り: 1層目と直交する方向に2層目を塗る。

- 乾燥させて三層目を塗ります。
- 乾燥したら、紙やすりで磨きます。

10回以上繰り返して塗って、紙やすりで磨くとかなりのツルツルな画面が出来上がります。
ムラを防ぐ!重ね塗りのコツと乾燥時間
一度に厚く塗るのではなく、薄く何度も重ねるのがムラを防ぐ最大のポイントです。
一回目が乾いたら、次は筆を動かす方向を90度変えて(十字に)塗ると、布目が綺麗に埋まります。

できれば丸1日置いてから描き始めることをおススメします。
【実体験】アクリル絵の具を使う時に下地(ジェッソ)を塗って感じたメリットと注意点
■↑ホルベイン・ジェッソにアクリル絵の具を混ぜてカラージェッソにして塗っているところ。
実際にアクリル画を描く中で感じた、ジェッソの「ここがすごい!」「ここが大変!」というリアルな声をお届けします。
- 下地(ジェッソ)を使うことのメリット
- 下地(ジェッソ)アリ・ナシ比較実験
- 下地(ジェッソ)を使う時に注意すること
アクリル絵の具で描く時に感じた下地のメリット
アクリル絵の具を使用した制作を始めたころは、下地(ジェッソ)を使っていませんでした。
理由は、当時、参考にしていた動画と本では、下地を塗らず、いきなりアクリル絵の具を使って描いていたからです。
しかし、その後、様々な資料や本を調べていくうちに下地(ジェッソ)について知るようになり、使ってみたのです。
そして、感動しました!
この一塗り、ひと手間で、そのあとの絵画制作がこんなにもスムーズになるなんてと驚いた のです。絵の具の定着や発色、耐久性も考えると、もう下地(ジェッソ)を塗らないという選択肢はないなと思っています。

とくに猫の絵の仕上げで、ピンとしたヒゲをシュッと描きたい時など、画面にデコボコがあると、キレのある線が引きづらいです。
ジェッソのアリ・ナシ比較実験
キャンバスボードを使って、ジェッソのアリ・ナシ比較実験を行いました。
実験概要
- キャンバスボード:ホルベイン・ボールドキャンバス
- 下地(ジェッソ):ホルベイン・ジェッソS微粒子タイプ
素材
下地(ジェッソ)アリ
下地(ジェッソ)ナシ
色塗りナシ
色塗りアリ
実験結果と考察
下地(ジェッソ)アリ
下地(ジェッソ)ナシ
色塗りナシ
(1)なめらかに描けました。
(2)描く時にひっかかりを感じました。少し滲みもありました。
色塗りアリ
(3)スムーズに色塗りができました。線も描きやすかったです。発色もキレイです。
(4)色を塗る時にひっかかりを感じました。発色も下地アリより劣ります。

下地(ジェッソ)使用時の注意点
下地(ジェッソ)を塗ったことで、滑らかな描き心地になることを目指しているのに、ハケのすじがついてしまうこともあります。
少しくらいなら、その後、紙やすりで磨くと滑らかになりますが、あまりにデコボコにならないように気を付けています。
しかし、筆跡が着かないようにと、水で薄めすぎると画面から下地(ジェッソ)が垂れて、周囲を汚すので注意してください。
【Q & A】アクリル絵の具を使う時の下地(ジェッソ)に関するよくある質問

Q.キャンバス以外(木材やプラスチック)にも塗れますか?
A.はい、塗れます!
もちろん布以外の素材に描くときにも、ジェッソの接着力は本領を発揮します。
ただし、ツルツルしたプラスチックの場合は、軽くやすりがけをしてから塗るとより剥がれにくくなります。

Q.ジェッソの代用をできるものはありますか?
A.専用の下地(ジェッソ)がおすすめです。
白いペンキなどで代用する方もいますが、絵の具の定着や耐久性を考えると、やはり専用のジェッソをおすすめします。
また、安価な下地材ははがれたり浮いてきたり、逆に手間がかかってしまいます。
【まとめ】アクリル絵の具には下地(ジェッソ)が力強い相棒!
今回の記事では、アクリル絵の具を使用するときの下地(ジェッソ)について解説しました。
下地(ジェッソ)を塗ることのメリット、塗り方、注意点についても紹介しました。
下地(ジェッソ)を使うことで、「アクリル絵の具の使い心地の向上」だけでなく、「作品の仕上がり」が変わります。
- ジェッソは絵の具の「定着・発色・吸い込み防止・凹凸補正・耐久性」に必須
- 迷ったらホルベインMの白から始めるのがおすすめ
- 薄く重ね塗りをすることで、最高の下地が出来上がる
下地作りは少し手間に思うかもしれませんが、そのひと手間であなたの絵はもっと輝きます。
一度やってみると、 下地の工程も、楽しい制作の一部 だと感じられます!

アクリル画を描く時間が、今まで以上に楽しいものとなります。
このブログでは、アクリル絵の具と猫の絵に関することをやさしく簡単に紹介しています。
また、YouTubeではわかりやすく動画でご覧いただけるように工夫しています。
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