こんにちは!
元看護師のアクリル画家、松井京丸です。
2匹の愛猫と暮らしながら、癒しをテーマにした絵を描いています。
『瞬きのあいだ』(アクリル絵の具)
「なかなか気に入った色の毛糸がみつからなくて~」
「毛糸の色を自分好みに変えたいけれど、わざわざ専用の染料を買うのはもったいない…」
「手持ちのアクリル絵の具で、毛糸ってきれいに染められるの?」
ハンドメイドを楽しむ中で、そんな疑問を持ったことはありませんか?
実は、水で溶けて乾くと耐水性になるアクリル絵の具を使えば、誰でも簡単に毛糸を染めることができるんです。
専用の染料を使わなくても、パレットの上で色を混ぜるように、
世界に一つだけのオリジナルカラーの毛糸を作れます。

本記事では、毎日アクリル絵の具を扱うプロの画家としての知見と、
元看護師ならではの実験的・科学的な視点から、
アクリル絵の具で毛糸を染める具体的な手順、効果的なアクリル液の作り方、毛糸の素材別の染まり方の独自検証を詳しく解説します。
これを読めば、失敗することなく、 あなたの理想の色の毛糸を手に入れることができますよ!
それでは、よろしくお願いします。
アクリル絵の具で毛糸はきれいに染められる?専用染料との違い
アクリル絵の具を使って、失敗なく毛糸を染めるために、
まずは、「染料」(専用の染料)と「顔料」(アクリル絵の具)の違い、
色が染まる仕組みについて理解しておきましょう。
- 染料と顔料の染まり方の違い
- アクリル絵の具で毛糸がゴワゴワする理由
アクリル絵の具で毛糸は染められるのか?
結論から言うと、アクリル絵の具で毛糸をきれいに染めることは可能です。
最大のメリットは、何と言っても「手軽さ」と「調色の自由度」。
赤、青、黄などの基本色があれば、無限に色を作り出すことができます。
ただし、専用の染料とアクリル絵の具では、糸への「色の付き方」に決定的な違いがあります。
染料と顔料の違いとは?
専用の「染料」は、繊維の奥深くまで浸透して染め上げます。
それに対してアクリル絵の具は「顔料」と「アクリル樹脂(接着剤の役割)」でできているため、繊維の表面に色がコーティングされる形で定着します。
染料(専用の染料など)
顔料(アクリル絵の具など)
性質
水に溶ける
水に溶けない
定着方法
内部に浸透する
表面に定着する
耐久性
光で色あせしやすい
光で色あせしにくい
発色
鮮やかで透明感がある
隠蔽力がある
用途
衣服の染め物、写真のインクジェットインクなど
絵の具、塗料、ボールペン、印刷用インクなど

■↑染料が染まったイメージ図、顔料が染まったイメージ図。
染まり方の違い
専用染料が繊維の中に浸透するのに対して、アクリル絵の具(顔料)は繊維の表面に乗ってコーティングされる仕組みです。これが仕上がりの手触りなどに大きな違いを生みます。
アクリル絵の具の特徴を理解すればキレイに仕上がる
「アクリル絵の具の特性」「染料と顔料の違い」がわかっていただけたでしょうか?
アクリル絵の具は顔料であるためしっかりと色が付き、色あせしにくい一方で、
繊維の表面に色が乗っている状態であるため、乾いた後に毛糸が少し硬く(ゴワゴワに)なりやすいという特徴があります。
この特性を理解した上で作業することが、失敗しないための第一歩です。

ゴワゴワしない!プロが教える毛糸の風合いを保つ裏技3選
この章では、アクリル絵の具で染めた毛糸が、ゴワゴワにならないコツを3つ紹介します。
- ファブリックメディウムの有用性
- 絵の具の濃度を薄くして重ね染めする
- 毛糸の素材を選ぶ
裏技その1:ファブリックメディウムを使う
アクリル絵の具で染める際の最大のデメリットである「乾燥後のゴワゴワ感・固さ」。
特にマフラーや衣服など、肌に直接触れるものを作りたい場合は気になりますよね。
一つ目の方法は、「ファブリックメディウム(布用定着剤)」を混ぜることです。
これを絵の具に混ぜることで、布や糸に色が定着しやすくなるだけでなく、
乾燥後のゴワつきを劇的に和らげ、しなやかに仕上げることができます。
使い方はとっても簡単、ただ絵の具と一緒に混ぜるだけです。

●↓ファブリックメディウム
裏技その2:一度に濃く染めない
二つ目は、「絵の具の濃度を極力薄くし、重ね染めすること」です。
特に濃い色に染めたい時は、薄い色水を作って染め、乾かしてからもう一度染める…
という工程を踏むことで、繊維への負担を減らすことができます。
裏技その3:毛糸の素材を選ぶ
アクリル絵の具は「天然繊維」と相性がいいです。
逆に「化学繊維」とはあまり良い相性とは言えません。
種類
特徴
天然繊維
コットン、ウール、リネン
キレイに発色し絵の具がはがれにくい
化学繊維
ポリエステル、アクリル、ナイロン
絵の具が弾かれたり、乾燥後にはがれやすい
豆知識:アクリル絵の具・アクリル毛糸・アクリル板って何が違うの? アクリル絵の具は顔料とアクリル樹脂と水を原材料として作られています。アクリル毛糸は石油由来のポリアクリロニトリルというアクリル樹脂を主原料として作られた合成繊維です。アクリル板は石油由来のポリメタクリル酸メチルという合成樹脂でできています。同じ「アクリル樹脂」という同じ系統の素材を原料としていますが、加工によって用途が全く変わったものになります。

【準備】アクリル絵の具で毛糸を染めるための必須アイテム
それでは、アクリル絵の具で毛糸を染めるための道具を準備していきましょう。
途中で慌てないように、しっかり物品を用意してから染めていきましょう。
- 失敗なし!必須アイテムリスト
- 使用するアクリル絵の具とファブリックメディウム
- 使用する毛糸について
失敗なし!必須アイテムリスト
■↑今回、用意した必須アイテムたち。
アクリル絵の具
100均のものでもOKですが、発色にこだわるなら画材メーカーのものがおすすめです。
ファブリックメディウム
今回はターナーファブリックメディウムを使用します。
染めたい毛糸
ダイソーのリサイクルコットン100%並太を使いました。
コップ
ゼリーなどの空き容器
かき混ぜる棒
割りばしやスプーン
バケツ、洗面器
毛糸を浸すのに使います。
ビニール手袋
使い捨てのビニール手袋が便利です。
新聞紙
汚れ防止のために敷きます。レジャーシートでもOK。
使い古しタオル
水滴を取るために用意しておきます。
アクリル絵の具とファブリックメディウム
■↑今回、用意したアクリル絵の具とファブリックメディウム。
アクリル絵の具は、すでに持っているものの好きな色で構いません。
もちろん100均のものでも大丈夫です。
発色や落ちにくさに、より一層こだわるのであればメーカー品がおススメです。

●↓アクリル絵の具:リキテックスプライム
●アクリル絵の具:リキテックスベーシックス
●↓アクリル絵の具:アムステルダム
アクリル絵の具染めに使用する毛糸
■↑今回、用意した毛糸。
いろいろな種類の毛糸を用意しました。
まずはダイソーの「リサイクルコットン100%並太ホワイト」を使用して染めてみます。
【実践】アクリル絵の具で毛糸を染める簡単5ステップ
準備ができたら、実際に染めていきましょう。
手順はとてもシンプルで、大きく分けて5つのステップで完了します。
- 毛糸の準備をする
- 絵の具液を作る
- 毛糸を浸して色を定着させる
- 水気を切って乾燥させる
- 毛糸をほぐして完成


ステップ1:毛糸を輪っかにしておく
■↑輪っか(かせ状)にした毛糸。(ダイソー・リサイクルコットン100・ホワイト)
買ってきたそのままの玉の状態で染めようとすると、とても染まりにくく、乾燥も遅くなってしまいます。
必ず輪っか状(かせ状)にほどいてから染めましょう。
専用の器具がなくても、家族に腕をかしてもらったり
椅子の背を使うと簡単にできます。
(1)椅子の背に毛糸の端を固定します。
(2)そのまま巻いていきます。
(3)程よい束になるまで巻きます。
ステップ2:色ムラを防ぐ絵の具液の作り方
容器にアクリル絵の具を出します。
同じ量のファブリックメディウムを入れます。
最初から大量の水を入れると絵の具がダマになりやすいので、まずは少量の水で絵の具をペースト状によく溶かします。
完全に溶けたら、少しずつ水を足して希望の濃さに調整します。
牛乳くらいのシャバシャバ感にするのが目安です。
アクリル絵の具(リキテックスベーシックス・ウルトラマリンブルー)
ファブリックメディウム(ターナー・ファブリックメディウム)
水
割合
1
1
10
今回の使用量
15ml
15ml
150ml

ステップ3:毛糸を浸して色をしっかり定着させる
作った絵の具液に毛糸を静かに入れます。
表面だけでなく中まで色が浸透するように、手袋をした手で優しく押し込むようにもみ込みます。
この時、毛糸同士が絡まないように注意してください。
5分〜10分ほど浸け置きすると、色がしっかり入りやすくなります。
今回は「5分間」浸けおきしました。
ステップ4:乾燥させる
液から毛糸を取り出し、軽く水気を切ります。
雑巾のように強くねじって絞ると毛糸が傷んでしまうため、手のひらでギュッと握るように押して水分を出します。
その後、不要なタオルで挟んでポンポンと水気を吸い取ります。
最後は、風通しの良い日陰でなるべく重ならないように広げるか、
つるすように干して、完全に乾燥させます。
ステップ5:毛糸をほぐして完成
乾燥したら、毛糸を優しくほぐしていきます。
乾燥すると、色味が落ち着いた感じになります。

■↓今回と同じアクリル絵の具を使用して布の染め方を解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
■↓ダイソーのアクリル絵の具で布染めを検証した記事です。こちらも参考にしてみてください。
【独自検証】コットン毛糸vsポリエステル毛糸!染め上がりと質感の違い
みなさんが一番気になるのは、「どんな種類の毛糸でも、ちゃんと希望通りに染まるの?」という点ですよね。
さらに、「どうしてもファブリックメディウムって必要なの?」という疑問もあると思います。
そこで今回は、 「コットン毛糸(天然繊維)」と「ポリエステル毛糸(化学繊維)」 を全く同じ条件で染め、
天然繊維と化学繊維とで、仕上がりにどのような違いが出るのかを比較実験してみました!
さらに、ファブリックメディウムのありなしの比較実験も行いました。
実験概要:コットン毛糸vsポリエステル毛糸
使用する毛糸
天然繊維
コットン(ダイソー・リサイクルコットン100・ホワイト、綿100%)
化学繊維
ポリエステル(ダイソー・リサイクルポリエステル毛糸・ミルキーホワイト、ポリエステル100%)
アクリル絵の具液は以下の3種類
(A)アクリル絵の具のみ
アクリル絵の具15ml+水150ml
(B)アクリル絵の具+ファブリックメディウム
アクリル絵の具15ml+ファブリックメディウム15ml+水150ml
(C)アクリル絵の具+お酢
アクリル絵の具15ml+お酢15ml+水150ml
実験結果:コットン毛糸vsポリエステル毛糸
天然繊維と化学繊維では、絵の具の吸い込み方や、乾いた後の風合いに明確な違いが現れました。
染めた直後の状態
コットン毛糸
ポリエステル毛糸
(A)アクリル絵の具のみ
しっかり染まったように見えましたが、水分を取ると、部分的に色も抜けていきました。
コットン以上に、水分をふき取る段階で色が抜けていきました。
(B)アクリル絵の具+ファブリックメディウム
しっかり全体的に染まっています。水分を取っても、変化はなかったです。
水分を取る段階で、かなり色も一緒に抜けていきました。
(C)アクリル絵の具+お酢
思いがけず濃ゆく染まってビックリしました。しかし、匂いが耐えられませんでした。
コットンには劣りますが、よく染まっています。こちらも匂いが気になります。
乾燥した後の状態
乾燥すると、すべての物で色の落ち着きが見られました。
コットン毛糸
ポリエステル毛糸
(A)アクリル絵の具のみ
少しごわつきが気になります。
一番色が入っていません。
(B)アクリル絵の具+ファブリックメディウム
少しごわつきを感じます。
少し色味が落ち着きました。
(C)アクリル絵の具+お酢
とても濃く染まっていただけに、色味の落ち着きの変化を激しく感じました。
今のところこれが一番濃ゆく染まっています。
洗濯・色落ちテスト
全ての毛糸を同じ条件で洗いました。
- ひとつづつ手洗い
- 中性洗剤を使用
すべての毛糸で色落ちがありました。
洗濯は単独洗いが必須なようです。
洗濯直後の状態
コットン毛糸
ポリエステル毛糸
(A)アクリル絵の具のみ
色の変化はほとんどありません。ごわつきも解消されました。
さらに色が抜けてしまいました。
(B)アクリル絵の具+ファブリックメディウム
乾燥後とほとんど変化なしです。ごわつきもありません。
乾燥後と比べてほぼ変化なし。
(C)アクリル絵の具+お酢
色味は変わりませんが、ごわつきが気になります。
洗濯で色落ちがありました。
洗濯後・乾燥した状態
コットン毛糸
ポリエステル毛糸
(A)アクリル絵の具のみ
きしみが消え、指どおりも良くなりました。だんだんと色が抜けた感じです。
最初から染まりにくかったですが、色落ちも1番顕著でした。
(B)アクリル絵の具+ファブリックメディウム
色が安定しています。洗濯で指どおりが良くなり、きしみも消えました。スムーズに編むことが出来そうです。
洗濯で、色抜けがあり、ムラになってしまいました。
(C)アクリル絵の具+お酢
染めたての発色は良かったのですが、工程ごとに色が落ちています。指どおりで少し違和感を感じました。編むときにひっかかりがあるかもしれません。
洗濯で色抜けしたもののポリエステルの中では1番発色が良い。ポチエステル特有のふわふわ感は少し失われている。
実験結果を踏まえた考察
項目
詳細
発色
「(B)アクリル絵の具とファブリックメディウムで染めた毛糸」「(C)アクリル絵の具とお酢で染めた毛糸」は染めた直後の発色が良かった。
色の抜け
「ポリエステル毛糸」と「(C)アクリル絵の具とお酢で染めた毛糸」は洗濯で色落ちが顕著だった。
ごわつき
コットン毛糸は、染めた直後はごわつきを感じられたが、洗濯乾燥後は解消された。指どおりも良くなった。ポリエステル毛糸は滑らかさが失われた。「(C)アクリル絵の具とお酢で染めた毛糸」では指どおりに少し違和感が残った。
その他
「(C)アクリル絵の具とお酢で染めた毛糸」は染めている時の匂いがキツイと感じた。乾燥中も匂いあり。洗濯すると消えました。
以上の検証実験の結果をトータルで踏まえた結論
アクリル絵の具で毛糸を染める場合は、ファブリックメディウムを使って、天然素材の毛糸に染める!

【応用】毛糸染めをさらに楽しむ 今回は「アクリル絵の具液に5分間浸す」「その後、洗濯を1回」という条件で行いました。もっとしっかり染める場合は、時間を長く置いたり、乾燥してから再び染めたりするといいです。乾燥してから、別の色で部分的に染めるなど、いろいろな応用もできますね。
【Q & A】アクリル絵の具で毛糸染めに関するよくある質問
最後に、アクリル絵の具で毛糸を染める際によくある疑問にお答えします。

Q :染めた後の毛糸は洗濯機で洗っても大丈夫?
A.基本的には「優しく手洗い(押し洗い)」を推奨します。
アクリル絵の具は乾くと耐水性になりますが、洗濯機の強い摩擦や洗剤の成分によって、色落ちしたり風合いが損なわれる可能性があります。

Q :思った通りの色に染まらない時はどうすればいい?
A. 毛糸の元の色(ベースカラー)が影響している可能性があります。
白い毛糸なら絵の具の色がそのまま出やすいですが、生成りや色のついた毛糸の場合は、絵の具の色と混ざった仕上がりになります。
まずは少量の毛糸で試し染めをすることをおすすめします。
Q :染めてから編むべき?それとも編んだ作品を染めるべき?
A. 初心者には「染めてから編む(糸染め)」を強くおすすめします。
どちらも可能ですが、アクリル絵の具を使う場合、糸の状態で染めることで、ムラなく均一に色を入れやすくなります。
多色使いのオリジナル段染め毛糸(グラデーションや斑点模様)も作りやすくなります。
一方、「編んでから染める(製品染め)」は、完成した小物の裾だけを別の色にしたい時などには有効です。
しかし、編み目の重なっている奥深くまで絵の具液が浸透しにくく、色ムラや染め残しができやすくなります。
また、絵の具の樹脂成分で編み目が固まってしまい、せっかくの作品がカチカチになりやすいというデメリットもあります。

【まとめ】アクリル絵の具でオリジナルの毛糸を作ろう
今回は、アクリル絵の具を使って毛糸を染める方法と、失敗しないためのコツについて解説しました。
専用の染料がなくても、身近なアクリル絵の具と水さえあれば、誰でも簡単に毛糸のカラーチェンジを楽しむことができます。
コットンやポリエステルといった素材による染め上がりの違いを知っておけば、作品作りの幅もグッと広がりますね。
少し硬くなりやすいという特徴もありますが、メディウムを使ったり濃度を工夫したりすることで、十分に実用的なオリジナル毛糸を作ることができます。
- アクリル絵の具で染めた毛糸がゴワゴワしない裏技3選
- 失敗なしの必須アイテムリスト
- アクリル絵の具で手軽にオリジナル毛糸が作れる5ステップ
- 【独自検証】天然繊維と化学繊維で染まり方や質感の違いを実験

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